フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「私の能力は、相手の心に隠された真実を語らせることができます。それが強い悪意であった場合、負のエネルギーに当てられてしまうのです」
「負のエネルギー……?」
「魔物の瘴気にも似ていて、とても厄介なものです。それが大きければ、意識を失ったり発熱することがあるのです」
「それを、どうにか防ぐことは出来ないのか?」

 エドワード様の問いに、ただ首を左右に振るしかできなかった。残念だけど、魔族が使う能力というのは万能ではない。何かしら制約や代償があるもの。

 人族にはないことなのだろう。私を見つめるエドワード様の瞳から不安の色が消えない。

「もしも、王妃の前で意識を失うことでもあれば」
「そうならないよう、祈るばかりです。ですが……私の決意は変わりません。私にしか出来ないことです」
「リリアナ……」

 苦しそうに私を呼ぶエドワード様は、唇を噛み締めた。その後ろでは、サフィアに寄り添われたデイジーが鼻を啜り、泣くのを堪えている。

 三人が心から私のことを心配してくれていると、よくわかる。能力を使わなくても、その温かさが伝わって胸が温かくなった。
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