フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「強情な女とお思いでしょう。ですが……私は、貴方の力になりたいの。エリザ様の真実を知りたいの!」

 そう、知らなければならないの。

 エドワード様は、エリザ様を愛していなかったといった。それは事実だろう。でも、その心はエリザ様の死に捕らえられている。

「エドワード様の心には、エリザ様がいる。愛していなかったといいながら、忘れることは出来ない。貴方の心は、エリザ様に向いている。それが……辛いの」
「リリアナ、私は本当にエリザのことを」
「わかっています! わかっています……」

 これほどエドワード様に惹かれるなんて、アルヴェリオンに来た当初は思ってもいなかった。

 一緒に歩いた街や森で見せてくれた表情が、目まぐるしく蘇る。
 私を気遣う彼の優しさ、眼差し、声、全てが愛おしい。だけど、そこに私じゃない女性の影がちらつく。

「エリザ様のことは仕方のないこと。そう、頭でわかっていても、私は、あなたを捕らえる死の真相を知らないといけない」

 王妃と戦うのはアルヴェリオンのためだけじゃない。
 私は、この小さな嫉妬を無視できないの。
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