フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「彼らは王妃に屈していない貴族だ。しかし、ノーブル家とセルダン家は財政が厳しいと聞く。パスカリス侯爵は、地方貴族の繋がりが多いゆえ、王妃としては味方につけたいのだろう。娘たちを使って侯爵たちに罠を張る気か」
あるいは、もう令嬢たちはなにか弱みを握られているのかもしれないのね。
だとしたら、私をお茶会に呼ぶ意味はなにかしら。
私を罠に嵌めるだけなら、すでにヴィアトリス王妃の手に落ちている令嬢を揃えた方が手っ取り早いはずよ。そうしない理由は──考えても、まったく思いつかないわ。
小さくため息をつくと、エドワード様が私の手を握りしめた。
「ローレンス、侯爵たちに送る書状の準備を急ぎで頼む」
「書状の内容はいかほどに」
「貴殿の忠誠と国の未来を守るため、酒を酌み交わしたい。娘と共に登城するようにと」
「かしこまりました」
一礼するローレンスに、エドワード様は「それと」と声をかける。
「当日、ローレンスも私と共に同席するように」
エドワード様の指示に、ローレンスは小さく「御意」と返した。