フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「それから、リリアナの側には──」
「エド、当日なんだけど、連れて行くのはデイジーだけにするわ。サフィアは、あなたの側に仕えさせてほしいの」
「リリアナ様!?」

 私の言葉に声を上げたのはサフィアだった。

「侍女を二人も連れて行ったら、ヴィアトリス王妃に警戒しているといってるようなものでしょ?」
「ですが……」
「それに、サフィアはエリザ様の侍女だったのでしょ。よけい警戒されると思うの」

 ヴィアトリス王妃がサフィアのことを覚えていても、なんら不思議じゃないわ。エリザ様の側にずっといた侍女なんだもの。
 そんな彼女がお茶会に現れたら、どう思うか……

「デズモンドの話を聞きたいといっているのだから、デイジーを連れて行くことに不自然さはないでしょ?」
「……わかりました。お力添えができず、申し訳ありません」

 そういったサフィアは唇を少し噛むと俯いた。その肩にデイジーがそっと触れるけど、どうしていいかわからないようで、おろおろとこちらを見ている。

「謝らないで、サフィア。あなたの力が必要よ。用意して欲しいものがあるの」
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