フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
暖かい腕の中にいると、肩の力が抜けていく。
出来ることなら、こうしてエドワード様と寄り添っていたい。なにもかも投げ出して、二人で生きていけたら、どんなに幸せだろう。
でも、彼は王弟で、私はその妃。国のために生きなければならないのが定め。
エドワード様がいなくなったら、ここでは生きていけない。彼がいなければ、ヴィアトリス王妃と対峙なんてできない。
「私も同じ気持ちですわ」
エドワード様の胸元で輝くブローチに触れた。ひやりとした銀細工だというのに、なぜか温かく感じる。
「エド、あなただから、私は強くあろうと心に決められた。私もあなたを守りたいの」
「リリアナ……」
「大丈夫。あなたが見ててくれると思えば、なにも怖くはありません。それに、デイジーもついているのですから」
心配しないでといっても心配なのだろう。