フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 どうしたら、エドワード様の不安を少しでも拭えるのか。
 温かな心音に耳を寄せ、少し考えてみるけど思い浮かばないわ。

「エド……どうしたら、貴方の不安を拭えるの?」
「それは、なくならないかもな」

 少しだけ苦笑を浮かべたエドワード様は「だけど」と呟くと、口元を一度引き締めて、少し私から身体を離した。
 大きな手が、私の指を優しく握る。

「君を信じる。私の薔薇はどこでも輝く……王妃のまがい物の輝きになど負けない。そうだろう?」
「ええ、もちろんです。貴方と国の未来、それに、エリザ様のためにも」

 全てを明らかにしなければ、私の心も前には進めない。
 エドワード様と夜を共にするのは、そう遠くないだろうけど、今の気持ちのままでは……

「リリアナ……全てが終わったら、またこうして一緒に夜をすごそう」

 少し熱を帯びた指先が、頬を撫で、唇に触れた。

「君の横で月を眺め、共に朝を迎えたい……約束してくれないか、リリアナ」

 それってつまり──頬が熱を帯び、小さく頷くことしか出来なかった私の額に、エドワード様はそっと唇を寄せた。
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