フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「そうなのですか?」
「この習わしは、お子を授かった王妃が行うからね」

 困ったように笑うエドワード様の言葉に、ああと察した。
 ご懐妊されれば、ヴィクトリア王妃の薔薇もここに植えられる……つまり、今はまだ陛下に跡継ぎがいないってことよね。それって、王位継承権第一位はエドワード様になるということで。

 待って。それって、あまりよくない状況なんじゃ……

 ヴィアトリス王妃の冷たい眼差しを思い出し、ぞくりと背筋が震えた。
 もしかして、妃殿下はその事を案じているのかもしれないわ。エドワード様が陛下の玉座を狙っているんじゃないかって。

 ちらりとエドワード様の横顔をうかがってみたけど、兄王の失脚を狙うような野心家には見えない。
 でも、ヴィアトリス王妃の黒い瞳が、どうも気になるのよ。魔族の勘が、妃殿下は危険だと告げているの。
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