フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
魔族でも、王妃の座に上り詰める淑女は慈悲深さを兼ねそろえている。民衆を率いる魔王様を慈しみ支える王妃だもの、当然よね。
だけど、ヴィアトリス王妃に、その慈愛は欠片ほども見えなかったわ。それに、赤子を抱く姿を想像できない。
思考を巡らせていると、エドワード様が私の視線に気付いたようで、穏やかな笑みで「どうかしたか?」と私に尋ねた。
だけど、返す言葉が見つからない。
黙っていると、エドワード様の手が私を労るように背中へと添えられた。
「風が冷たくなってきたな。部屋に戻るか」
大きな手と声から、とても温かいし優しさが伝わってくる。
やはり、この優しすぎる王弟殿下が野心を抱いているとも、あの王妃に敵うともとても思えないわ。
もしかして、魔王様はこの国の異変に気付かれて、私を遣わしたのかしら。私の為すべきことは、王弟エドワードを守ること?
「リリアナ?」
「……今日はもう、休んでも良いでしょうか?」
「長旅の疲れも出てきたか? 無理をさせてしまったな」
私の申し出をエドワード様は笑顔一つで受け入れ、ご自分の上着を脱ぐと私の肩にかけた。
だけど、ヴィアトリス王妃に、その慈愛は欠片ほども見えなかったわ。それに、赤子を抱く姿を想像できない。
思考を巡らせていると、エドワード様が私の視線に気付いたようで、穏やかな笑みで「どうかしたか?」と私に尋ねた。
だけど、返す言葉が見つからない。
黙っていると、エドワード様の手が私を労るように背中へと添えられた。
「風が冷たくなってきたな。部屋に戻るか」
大きな手と声から、とても温かいし優しさが伝わってくる。
やはり、この優しすぎる王弟殿下が野心を抱いているとも、あの王妃に敵うともとても思えないわ。
もしかして、魔王様はこの国の異変に気付かれて、私を遣わしたのかしら。私の為すべきことは、王弟エドワードを守ること?
「リリアナ?」
「……今日はもう、休んでも良いでしょうか?」
「長旅の疲れも出てきたか? 無理をさせてしまったな」
私の申し出をエドワード様は笑顔一つで受け入れ、ご自分の上着を脱ぐと私の肩にかけた。