フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 脳裏に、ベルフィオレ公爵夫人の話が蘇る。

 この令嬢が、どこぞの騎士へご執心しているディアナなのね。
 ピンクのドレスは金糸で美しい刺繍が施され、子爵家の二人と比べると裕福な家柄で育ったことがよくわかる。

 ただ、その胸元は大きく開き、たわわな胸がこぼれそうなデザインで、少しばかり品性にかける姿にも見えた。本人は、胸の谷間を見られることを気にもしていない様子だ。

「さあ、皆さん、お掛けになって。今宵は楽しい時間をすごしましょう」

 ヴィアトリス王妃が告げると、控えていた侍女たちが動き始めた。
 ゆったりとした布張りの長椅子に座ると、中央のテーブルに、次々と銀のティーセットが運ばれる。

「先日いただいた薔薇の紅茶、とても美味しかったわ。私も、とても幸せになれるお茶を取り寄せましたのよ」

 銀のカップに注がれる赤いお茶が、ふわりと甘い香りを立ち上げた。その香りはとても濃厚で、まるで熟した果物のようだ。
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