フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 なにをいっているのか見当もつかず、首を傾げていると、ディアナは頬を赤くして「夜の果実と呼ばれているとか」といい、喉をこくりと鳴らした。

「申し訳ありません。私の記憶にはそういった果物はありません」
「あら、そうですの?」
「リリアナは成人してすぐに、エドワードへ嫁いだのですから、知らされずにこちらへ来たのかもしれないわね」
「……そうかもしれません」
「残念ですわ。魔族の夜には欠かせない蜜の味。どんなものか聞いてみたかったのに」

 がっかりとした様子のディアナが発する言葉の端端から、淫らなものが感じられた。ほうっと口からこぼれるため息も、どこが艶やかだ。

 もしかしたら、彼女がいう果物は精力剤の材料となる木の実かもしれない。
 確かに、デズモンドにあるけど、それをそのまま食べるとか聞いたことがないわ。精製しないと、毒性も強くて危険な木の実の筈だけど。

 別に禁忌の果物という訳ではないし、アルヴェリオンに情報が渡っていてもおかしくはないのだけど。
 なぜ、そんなものをここで話題に出したのか。

 意図を考えると背筋が震えた。
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