フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「誤解というには、無理がございます!」
「パスカリス侯爵令嬢が、このようなはしたないお方とは存じませんでしたわ!」
「そうね……誤解を解くには、リリアナにきちんと話してもらった方がよさそうね」

 怒りに顔を赤らめる二人の前で、淡々と語るヴィアトリス王妃は持っていた扇子を広げた。

 ゆっくりと扇子が仰がれ、甘い香りが広がっていく。
 それを吸い込むと、身体の奥が熱くなるようだ。

「魔族も人族と同じです。心を持ち、愛する者を守り慈しみます」
「愛を語れば、私たちと同じだと思っているのね。では、その愛をなにで証明されるのかしら?」
「そ、それは……」

 そんなことをいわれても困る。
 エドワード様の優しい微笑みが脳裏をよぎった。私は彼を愛している。彼を守るためならなんでもするわ。だけど、それを証明しろだなんて。

 膝の上で手を握りしめていると、クラリッサが「では、お尋ねします!」と声を上げた。その顔は怒りでますます赤く染まっていく。
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