フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「ディアナ様は、愛の証明ができるのでございますか? 噂では、騎士の方に思いを寄せられているとのことですが、その方との愛を証明できるのであれば、どうして、ご結婚されないのでしょうか」
「そうですわ! 愛を証明して騎士の方をお迎えしたらどうですか。もう、よいお年でしょ?」

 二人の責める言葉にディアナの眉がひくりと動いた。だけど、彼女は怒りに声を上げることなく、カップの紅茶を飲み干した。

「結婚しないことが愛の証明ですわ。私は、彼以外に体を許す気もありませんもの」

 空になったカップを受け皿に戻したディアナが、にたりと笑う。

「愛を示すのはこの体のみ。見せろというなら、いくらでもお見せしますけど?」
「なんて、はしたない!」
「王妃様の御前で、そのような淫らなことを申されるなんて、どうかしています!」
「あら。初心(うぶ)ですこと。でも、真実ですわ。私たちは男を欲情させ、子を成すことで国を反映させるが務め……でしたら、この身は愛しい人に捧げたいと思うのが、当然じゃありませんこと?」

 すらすらと正当性を語るディアナの言葉に、子爵家の二人は真っ赤になって「王妃様!」と叫んだ。
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