フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~

第19話 魔族令嬢は、乱心する侯爵令嬢を静観する

 顔を真っ赤にするクラリッサとマリアンヌの視線を受け、ヴィアトリス王妃は小さく息をついた。

「ディアナ、少々言葉が強いですよ。それに、私も子を成していないので、耳が痛いわね」
「──!? 申し訳ございません、王妃様」

 ディアナの表情が強張り、子爵家の二人はほっと肩の力を抜いた。これで、この話は終わるだろうと誰もが思った。
 しかし、ヴィアトリス王妃は「でも」と呟いて話しを続けた。

「愛する人にしか体を許さないというのは、とても高潔で素晴らしいことだわ」
「──王妃様!」

 三者三様に、ヴィアトリス王妃を呼ぶ。そうして、ディアナは勝ち誇ったように私を見た。

「ディアナは少し好奇心旺盛なようね。それもこれも、デズモンドのことを知らないからだと思うの。ねえ、リリアナ?」
「……そうだと思います」
「彼女の好奇心に応えてはどうかしら?」
「と、申しますと……?」

 ヴィアトリス王妃の狙いがわからない。
 緊張と不安に鼓動が早くなり、尋常じゃない汗が背中を伝い落ちた。

「ディアナ、あなたは一番なにが知りたいの?」
< 204 / 275 >

この作品をシェア

pagetop