フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「ディアナ様のなされてることは、侯爵家の名を汚す行いと、わかっておいでですか!?」
「パスカリス侯爵がお知りになったら、どんなにお嘆きになるか!」

 クラリッサとマリアンヌが次々に批難の声を上げると、ディアナの瞳がすっと細められた。
 赤い唇から深い息が零れる。

「あら。父に話すつもり? でも、下位の貴女の話を、あの人が信じるかしら? 階級にしか興味のないあの人が」
「……なにを、仰っていますの、ディアナ様?」

 震えるマリアンヌを、ディアナは鼻で笑った。そうして「これだから田舎娘は」と呟く。

「父は私にいくつもの縁談をもってくるのよ。愛してもいない男に嫁げというわ。好きな人がいるのに、どうして愛せるというの? どうしたら、私は、彼と結ばれるの? 政略結婚でのこのこと王子と結ばれた魔族の女に、なにがわかるの!?」
 
 真っ赤な顔をして泣き叫んだディアナは、王妃の前であることも忘れたのだろうか。手に持っていた銀のティーカップを投げて立ち上がった。
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