フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~

第3話 魔族令嬢は、お忍びデートに戸惑いを隠せない

 エドワード様との婚姻は正式に結ばれたが、国民へのお披露目は三か月後となった。

 私が人族の習わしを学ぶため、時間が必要だったこともあるけど、王弟であるエドワード様には数々の責務もあり、忙しい日々を過ごしていたためでもある。
 
 正式な夫婦となってから一ヵ月。
 私たちは、いまだ初夜を迎えるどころか、ベッドすら別々の夜を過ごしている。

 私が淑女のマナーやダンス、アルヴェリオンの歴史、諸侯の相関関係など、家庭教師がついてのレッスンで軟禁状態なこともあって、エドワード様は気遣ってくれているみたい。

 ある夜のこと。
 一枚の扉の前に立ち、そっと触れてみた。
 この向こうに、エドワード様の寝室がある。ドアノブを捻れば、彼のもとに行ける。

「……エドワード様、お休みになったかしら」

 ドアノブに手を伸ばし躊躇する。もう一週間くらいこれを繰り返している。

 本当なら、お声がけするべきなのよね。それが、夜のお務めなのだから。
 でも、女からというのは、はしたないのかしら。それに、執務に追われているエドワード様のお休みを邪魔するのも悪いし。
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