フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 ドレスをたくし上げて走り出そうとした二人を、騎士たちの手が容赦なく掴む。

「おやめなさい! このようなこと、騎士にあるまじき行いですよ!!」

 私の叫びに、やはり騎士たちは動じなかった。その目は虚ろなままで、全く声が届いていないようだ。

「リリアナ様、お逃げ下さい!」
「デイジー、私よりも、二人を──!」

 私を抑え込もうとする男を蹴り飛ばしたデイジーは一瞬、躊躇して子爵令嬢の二人に視線を送った。その瞬間、その身体が横に投げ飛ばされ、私の前に長身の男が立ちふさがった。ガルエン卿だ。
 恐怖に足がすくんだ。

「いやっ! 放して!!」
「王妃様、お赦し下さい!!」

 クラリッサとマリアンヌの悲鳴が聞こえた。

「あらあら、なにを泣いているの? クラリッサ、マリアンヌ。あなたたちも、騎士と親しくなさい。ほら、香が、素敵な気分にしてくれるわよ」

 どうしてこんなことが出来るの?
 胸の奥に怒りがこみ上げる。
 ガルエン卿の硬い指が私のドレスにかかった。
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