フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~


 ヴィアトリス王妃はこれまで、自分の命令に背く令嬢たちを幾人も辱めてきた。
 今夜も、ディアナと彼女が懸想する騎士の間を取り持つと約束して、代わりに子爵令嬢二人を駒にすべく陥れようとしたこと。さらに、私を陥れることで、エドワード様の弱みを握ろうとしていたこと。過去の行いをすらすらと話した。そうして──

「エリザに思いを寄せるガルエン卿を使い、あの娘を穢した。許せなかった。私を蔑むあの瞳……エドワードを愛さずとも、王弟妃という地位を手に入れたのよ。あの女は、私を引きずりおろし、この国を手に入れようとしていた……そうに決まっている。だから、私の手で」

 なんてことだろう。ヴィアトリス王妃はありもしない妄想で、エリザ様を追い詰め、死に追いやったのだ。

 デイジーの側に寄り添っていたサフィアとローレンスが、嗚咽を零した。ローレンスの手が、腰に下げた剣に添えられた。だけど、それをデイジーの手が握りしめて静かに制止した。

 虚ろな黒い瞳が私を見ている。

「私の国を横取りするものを、許しはしない」
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