フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~

第21話 王弟殿下は、愛しい薔薇の目覚めを待つ(エドワードside)

 ヴィアトリス王妃の私室で倒れたリリアナは発熱が続いた。目を覚ますことはなく、身体は燃えるように熱かった。

 医者に見せたところ、魔力枯渇が著しいといった。枯渇を起こしながら無理な使い方をしたため、その反動が起きているのだろうと。
 身体を動かすに必要な魔力すら使われ、今、身体が必死にその魔力を生成しているのだと。

「三日後が山と思ってください。熱が引いた後に目を覚まさなければ……」
「どうなるというのだ?」

 口籠った医者は「お覚悟を」とだけ呟いた。

 目の前が真っ暗になった。
 もう少し早く駆け付ければよかったのか。王妃を追い詰める手段が、他にあったのではないか。リリアナに頼らずとも、私がどうにかすれば──答えのない後悔に、押しつぶされそうになった。
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