フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「フェルナンド卿に手紙を出したんだ」
「……お兄様にですか?」
「ああ。もしものことがあるかもしれない。だから、一度アルヴェリオンに来て欲しいと」

 なんてことでしょう。
 亡きお父様に似て厳格なお兄様が、私の体たらくぶりを知ったら、大激怒するに決まっているわ。

 戦場に立つことのできない私にも、常日頃から「フェルナンドの薔薇として、強くあれ」といっていたお兄様よ。能力を使いこなせず生死を彷徨うなんて、恥晒しも同然。
 絶対、怒ってるに決まっている。

 脳裏にお兄様の顔を思い浮かべ、堪らず身震いをする。だけど、そんな私を見たエドワード様は、綺麗な瞳を細めて微笑んだ。

「フェルナンドの薔薇は強い。リリアナは愛しい者を置いていくような、薄情な娘ではない。そう書かれていたよ」
「……お兄様が、ですか?」
「私の元に必ず戻るだろうから、信じて待てとも書いてあった。……弱気になっていた私を、励まして下さったんだ」

 あのお兄様が、そんな手紙を書いただなんて。
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