フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「……眠くなってきました」
「ああ、話し過ぎたか」
「……手を、離さないでくださいね」
「ここにいる。起きたら果物を食べよう。セルダン子爵から見舞いのアンズが届いている」
「セルダン子爵……マリアンヌは、泣いてませんか? それに、クラリッサも……」

 二人には、辛い思いをさせてしまった。
 ああ、それにヴィアトリス王妃はどうなったのかしら?

 瞼が少しずつ重くなっていく。

「大丈夫だ。二人とも、元気だ……目が覚めたら、その話もしよう」

 エドワード様の声が次第に遠のき、優しく「おやすみ」と耳元で囁きが広がった。

 ◇

 朝食を終えると、温かな紅茶が用意された。
 薔薇の香りが立ち上がる。エドワード様と一緒に行ったパサージュで出会った花の紅茶だ。

「ハースローゼの紅茶ね」
「はい。昨日、サフィアと買いにいってきました」
「……デイジー、この紅茶をクラリッサとマリアンヌへ贈ってくれるかしら?」

 あんなに辛いことがあったんだもの、きっと心穏やかにはいられないだろう。元気になったら、会いに行きたいけど、そう簡単じゃないわよね。
 だから、せめて贈り物をと思ったのだけど。
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