フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「今すぐに王位を継承せよといっているのではない。王弟であれば成せることもあろう。しかし、王でなければ成せぬこともある。お前の心が決まるまで、私は王でいよう」
「しかし……」

 ぐっと私の手を握ったエドワード様がこちらを見た。美しい若葉色の瞳が、揺れ動いた。静かに椅子に戻り、深く息を吸う。

 なにを迷うというのだろうか。
 アルヴェリオンに来て、私は日が浅い。それでも、エドワード様が国と民衆を大切に思っていることを見てきた。正義感の強さも、優しさと温かさも目の当たりにしてきた。だから、わかるわ。

 きっと、エドワード様が国王になったら、誰もが喜ぶだろう。

「兄上、私は……リリアナを苦しめたくないのです」
「……私?」
「私が政権を握ったら、王妃派の貴族たちはどうでるか……君を守るのに、王という立場は危険すぎる」

 国を愛しながら、私を一番に思ってくれている。それが嬉しくも、悲しくもあった。
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