フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「少し長いですね。そちら、明日までに上げておきます」
「私も手伝います!」
「デイジー様、ありがとうございます。その前に、リリアナ様。帽子の試着もお願いいたします」
 
 差し出された帽子は、向日葵の花を模したリボン飾りがあしらわれたものだった。
 少し、リボンが日に焼けているようにも見えるし、顎下で結ぶリボンに汚れや擦れも目立つ。

 誰かが使ったことのあるドレスね。
 もしかして、王家の女性がお忍びで外出するよう、あらかじめ用意されてるドレスの一着とかかしら?
 それだったら、使用感があるのも頷ける。

 裾に施される小鳥の刺繍のあたりも擦れがあるし、これを気に入って着ていた令嬢がいたのかもしれない。もしかして、エドワード様と死別されたという前妃のエリザ様の……?

 顔を見たことのない前妃の影がちらついた。

 じっとリボンを見ていると、サフィアが「申し訳ありません!」と声を上げた。
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