フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
柔らかな手を引き、少しおかしさが込み上げる。
こうして若い娘の手を引くことに、本当は慣れていないと知ったら、リリアナはどんな顔をするだろうか。
亡き妃をエスコートして街に出たことなどないと知ったら、幻滅されるだろうか。
力を込めたら折れてしまいそうな指に、武骨な指を絡めて握ると、リリアナが飛び跳ねるようにして私を見た。
「──!? エドワード様、なにをっ」
「今日は王弟とその妃ではなく、下級貴族の夫婦だよ、リリアナ」
「なっ、なっ、なにを急に……」
「そういう設定だ。私は早くに妻を失い、若い妻を新しく迎えた。寂しい日々に現れた花に夢中な男が、愛しい女を甘やかしてデートをする」
「……まるで、貴族のご令嬢の間で流行るロマンス小説みたいな設定ですわね!」
呆れたといいたいのか、照れなのか。そっぽを向くリリアナの耳が少し赤い。
ああ、そんな反応をされてしまうと、期待してしまうよ。
こうして若い娘の手を引くことに、本当は慣れていないと知ったら、リリアナはどんな顔をするだろうか。
亡き妃をエスコートして街に出たことなどないと知ったら、幻滅されるだろうか。
力を込めたら折れてしまいそうな指に、武骨な指を絡めて握ると、リリアナが飛び跳ねるようにして私を見た。
「──!? エドワード様、なにをっ」
「今日は王弟とその妃ではなく、下級貴族の夫婦だよ、リリアナ」
「なっ、なっ、なにを急に……」
「そういう設定だ。私は早くに妻を失い、若い妻を新しく迎えた。寂しい日々に現れた花に夢中な男が、愛しい女を甘やかしてデートをする」
「……まるで、貴族のご令嬢の間で流行るロマンス小説みたいな設定ですわね!」
呆れたといいたいのか、照れなのか。そっぽを向くリリアナの耳が少し赤い。
ああ、そんな反応をされてしまうと、期待してしまうよ。