フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
身勝手な私を、リリアナは愛してくれるだろうか。
もしも、今日の設定は下級貴族の夫婦というところだけだと伝えたら、どんな顔をするだろうか。恥ずかしがりながらも喜んでくれそうだ。
だが、私が妃ひとり守れなかった不甲斐ない男だと知ったときは、愛想をつかされるかもしれない。
離れそうになる手をつかみ、引き寄せる。
「……エドワード様?」
「違うよ、リリアナ。エドだ。いつも、様などつけないでくれと、いってるだろ?」
この悪魔が巣くうアルヴェリオンに嫁いだ君を守るのが私の役目だ。
私を愛してほしいなどワガママはいわない。その代わり、少しくらい夫婦の真似事をさせてほしい。
「今日は、下級貴族の夫婦なんだから、それらしく振る舞ってくれないと困るな」
白い指にキスをしたくなる衝動をおさえ、美しいラピスラズリの瞳を覗き込む。
戸惑う姿は、まるで子ウサギだな。
「……そ、それでしたら! なおさら、年上の旦那様を愛称では呼べませんわ」
つんっとそっぽを見る子どもっぽさに、思わずくすっと笑ってしまった。
私と十も離れているのだった。成人したといっても、まだ無垢な乙女だな。
もしも、今日の設定は下級貴族の夫婦というところだけだと伝えたら、どんな顔をするだろうか。恥ずかしがりながらも喜んでくれそうだ。
だが、私が妃ひとり守れなかった不甲斐ない男だと知ったときは、愛想をつかされるかもしれない。
離れそうになる手をつかみ、引き寄せる。
「……エドワード様?」
「違うよ、リリアナ。エドだ。いつも、様などつけないでくれと、いってるだろ?」
この悪魔が巣くうアルヴェリオンに嫁いだ君を守るのが私の役目だ。
私を愛してほしいなどワガママはいわない。その代わり、少しくらい夫婦の真似事をさせてほしい。
「今日は、下級貴族の夫婦なんだから、それらしく振る舞ってくれないと困るな」
白い指にキスをしたくなる衝動をおさえ、美しいラピスラズリの瞳を覗き込む。
戸惑う姿は、まるで子ウサギだな。
「……そ、それでしたら! なおさら、年上の旦那様を愛称では呼べませんわ」
つんっとそっぽを見る子どもっぽさに、思わずくすっと笑ってしまった。
私と十も離れているのだった。成人したといっても、まだ無垢な乙女だな。