フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
第5話 魔族令嬢は、パサージュで旅芸人に会う
エドワード様に手を引かれ、馬車を降りるとアーチ型の屋根におおわれた通りが広がった。足元は磨かれた石畳で、通りを挟むように店が続いている。
人々の笑い声が響き、子どもが駆けていく。
こんな風景、デズモンドじゃありえない。
「ここが、一番大きなパサージュだ」
「パサージュ?」
「屋根におおわれた商店街を、そういうんだ」
「デズモンドにはないわ」
「アルヴェリオンも、どの街にでもあるわけじゃないよ。ここが、王都だからだ」
誇らしげにいうエドワード様が指差す先を見ると、人集りができていた。その先から、異国の音楽が聞こえてくる。
「あれは、なにをしているの?」
「旅芸人だな」
「……旅?」
「国を巡りながら、歌で物語を伝える人々だ」
「物語? さっきの劇場とは違うの?」
興味に負けてしまい、エドワードを質問責めにしてしまった。それに彼は少し目を丸くしたけど、すぐに破顔して私の手を引いた。
「劇とは違うよ。見ればわかるさ」
「見ればって……──!?」
音の波が優しく私の耳を打った。
人集りの中、色鮮やかな服装の人々がリュートやハープを弾いている。
人々の笑い声が響き、子どもが駆けていく。
こんな風景、デズモンドじゃありえない。
「ここが、一番大きなパサージュだ」
「パサージュ?」
「屋根におおわれた商店街を、そういうんだ」
「デズモンドにはないわ」
「アルヴェリオンも、どの街にでもあるわけじゃないよ。ここが、王都だからだ」
誇らしげにいうエドワード様が指差す先を見ると、人集りができていた。その先から、異国の音楽が聞こえてくる。
「あれは、なにをしているの?」
「旅芸人だな」
「……旅?」
「国を巡りながら、歌で物語を伝える人々だ」
「物語? さっきの劇場とは違うの?」
興味に負けてしまい、エドワードを質問責めにしてしまった。それに彼は少し目を丸くしたけど、すぐに破顔して私の手を引いた。
「劇とは違うよ。見ればわかるさ」
「見ればって……──!?」
音の波が優しく私の耳を打った。
人集りの中、色鮮やかな服装の人々がリュートやハープを弾いている。