フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~

第7話 魔族令嬢は、王弟殿下の考えが知りたい


 パサージュを抜けると、私たちが乗ってきた馬車が停まっていた。

「リリアナ……もう一カ所、行きたいところがあるんだ」
「別のところですか?」
「そうだな。他の地区も見ながら、向かおうか」

 エドワード様にエスコートされながら馬車に乗ると、しばらくして馬車は静かに動き出した。

 ガタガタと石畳を行く揺れが体に響く。
 少しだけよろめくと、エドワード様の大きな手が肩に回された。しっかりと抱き寄せられ、ちょっと視線を上げると、端正な顔がそこにある。

「疲れただろう? 寄り掛かるといい」
「……これくらい、平気です」
「ははっ、私の妻は強情だな」
「フェルナンドの薔薇は強くあらねばなりません」

 恥ずかしさを隠すようにいうと、エドワード様は「時には添え木がいるだろう?」といい、さらに私を自身の側へと引き寄せた。

 寄り添った胸元から、暖かい鼓動が聞こえてきた。トクトクと響く音は、少し早鐘を打っている。

「……エドワード様」
「なんだい?」
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