フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
しばらく進んだ馬車は、王城へと向かっていった。
ついにこの時がきた。
止まった馬車から降り立つと、赤みがかった金髪の男性が出迎えてくれた。切れ長の瞳は、まるで新緑のように爽やかな輝きを湛えている。
「アルヴェリオンへようこそ、リリアナ嬢」
この方が、私の旦那様──エドワード王弟殿下。
凛と響く低い声に、私の胸は高鳴った。
魔王様声とも、父や兄の声とも違う。低いのにとても温かく感じるのは、なぜだろう。それに、どこかで聞いたことがあるような気もする。
脳裏に、夢に見た影がちらついた。私の手を引いたあの影……あれは、夢よ。なにを考えているの。
深紅のドレスを摘まみ上げ、淑女の挨拶を披露した私は、真っすぐ彼を見つめ「リリアナ・フェルナンドにございます」と名乗った。
「エドワードだ。遠いところよく参られた。長旅で疲れているだろうが、今から兄に会っていただきたい」
「……ご心配には及びません。仰せのままに」
「緊張されるなというのは、無理なことかと思いますが」
大きな手が差し出され、一瞬、躊躇った。
ついにこの時がきた。
止まった馬車から降り立つと、赤みがかった金髪の男性が出迎えてくれた。切れ長の瞳は、まるで新緑のように爽やかな輝きを湛えている。
「アルヴェリオンへようこそ、リリアナ嬢」
この方が、私の旦那様──エドワード王弟殿下。
凛と響く低い声に、私の胸は高鳴った。
魔王様声とも、父や兄の声とも違う。低いのにとても温かく感じるのは、なぜだろう。それに、どこかで聞いたことがあるような気もする。
脳裏に、夢に見た影がちらついた。私の手を引いたあの影……あれは、夢よ。なにを考えているの。
深紅のドレスを摘まみ上げ、淑女の挨拶を披露した私は、真っすぐ彼を見つめ「リリアナ・フェルナンドにございます」と名乗った。
「エドワードだ。遠いところよく参られた。長旅で疲れているだろうが、今から兄に会っていただきたい」
「……ご心配には及びません。仰せのままに」
「緊張されるなというのは、無理なことかと思いますが」
大きな手が差し出され、一瞬、躊躇った。