フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
人族の間には、男性が女性を敬い案内する──エスコートという文化があるとは聞いていた。この手を取り、共に歩くらしいが。
魔族の国では、女は男の後ろをついていくのが慣わしだ。
「リリアナ嬢?」
「……自分で歩けます」
その手を取ることができず、つい断ってしまった。
不快な思いをさせただろうか。
一抹の不安がよぎったけれど、エドワード様は少しだけ驚いた顔を見せると、朗らかに微笑んだ。そうして、静かに「失礼」といって私の手に触れた。
「なっ、何を……!?」
「私がこうして、寄り添って歩きたいだけです」
大きな手に導かれ、私の指はエドワード様の腕へとかけられた。
「美しい薔薇姫。私のワガママに、お付き合いいただけますか?」
甘い言葉にぞくりと背筋が震えた。
指をかけた腕は父や兄のように屈強で、きっと剣の稽古を怠ったことのない者だとわかる。穏やかなアルヴェリオンの空気とはそぐわない、力強さが感じられた。
なのに、彼の言葉は優しく私を気遣う。
魔族の国では、女は男の後ろをついていくのが慣わしだ。
「リリアナ嬢?」
「……自分で歩けます」
その手を取ることができず、つい断ってしまった。
不快な思いをさせただろうか。
一抹の不安がよぎったけれど、エドワード様は少しだけ驚いた顔を見せると、朗らかに微笑んだ。そうして、静かに「失礼」といって私の手に触れた。
「なっ、何を……!?」
「私がこうして、寄り添って歩きたいだけです」
大きな手に導かれ、私の指はエドワード様の腕へとかけられた。
「美しい薔薇姫。私のワガママに、お付き合いいただけますか?」
甘い言葉にぞくりと背筋が震えた。
指をかけた腕は父や兄のように屈強で、きっと剣の稽古を怠ったことのない者だとわかる。穏やかなアルヴェリオンの空気とはそぐわない、力強さが感じられた。
なのに、彼の言葉は優しく私を気遣う。