フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「危ない!」
とっさに子どもに手を伸ばした私は、後ろからエドワード様に強く引っ張られ、子どもの手を掴む前に引き戻された。
瞬間、バチバチとなにかが弾ける音がしたかと思うと、光と煙があたりに充満した。
通りをゆく群衆から悲鳴が上がる。
「子どもが! エドワード様、子どもが!!」
「大丈夫だ」
すっと片手を突き出したエドワード様の手に向かって、立ち込めていた煙が集まってきた。
風の魔法を使って浄化しているんだわ。
晴れた視界の中にいたのは、子どもを抱えた若い男性。彼は、子どもを地面に下ろすと、立ち往生した馬車に歩みより、何か話しかけていた。
「ここは、彼に任せよう」
足元で涙目になっている子どもを不憫に思い、戸惑っていると、男性がこちらを見た。彼が少し頭を下げる仕草をすると、エドワード様は手を上げる。
もしかして、知り合いなのかしら。
「でも、旦那様……」
「今日はお忍びだからね。騒ぎになっては、あの馬車に乗っている者にも迷惑がかかる」
私の耳元で囁いたエドワード様は、少し強引に手を引いた。
とっさに子どもに手を伸ばした私は、後ろからエドワード様に強く引っ張られ、子どもの手を掴む前に引き戻された。
瞬間、バチバチとなにかが弾ける音がしたかと思うと、光と煙があたりに充満した。
通りをゆく群衆から悲鳴が上がる。
「子どもが! エドワード様、子どもが!!」
「大丈夫だ」
すっと片手を突き出したエドワード様の手に向かって、立ち込めていた煙が集まってきた。
風の魔法を使って浄化しているんだわ。
晴れた視界の中にいたのは、子どもを抱えた若い男性。彼は、子どもを地面に下ろすと、立ち往生した馬車に歩みより、何か話しかけていた。
「ここは、彼に任せよう」
足元で涙目になっている子どもを不憫に思い、戸惑っていると、男性がこちらを見た。彼が少し頭を下げる仕草をすると、エドワード様は手を上げる。
もしかして、知り合いなのかしら。
「でも、旦那様……」
「今日はお忍びだからね。騒ぎになっては、あの馬車に乗っている者にも迷惑がかかる」
私の耳元で囁いたエドワード様は、少し強引に手を引いた。