フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~

第9話 王弟殿下は、魔族令嬢の幸せを願う(エドワードside)

 城に戻り、リリアナの部屋の前で、彼女の柔らかな髪をそっと撫でた。

「今日は疲れただろう?」
「でも、楽しかったです」
「それはよかった」
「……その、また連れていって下さるんです、よね?」
「ああ。次は髪飾りを探しに行こう」

 リリアナは胸元のブローチに触れ、少し頬を染めて微笑んだ。今日のことを思い返してくれてるのだろうか。

 白い頬に触れると、リリアナは驚いた顔で私を見上げた。唇に触れたい衝動を抑え、頬に触れていた手で彼女の手をとり、その甲に口付ける。

「おやすみ」
「……おやすみなさい」

 扉を閉じたリリアナが、少しだけ寂しそうに微笑んだように見えた。
 名残惜しいと思ってくれているのだろうか。そうであれば嬉しいが。

 閉じられた扉をしばらく見つめてから、踵を返した。
< 88 / 275 >

この作品をシェア

pagetop