寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「夏希の、新しいぱぱになってくれるの!?」
「夏希ちゃんは、新しいぱぱを探しているのか」
「うん。ままね、1人で大変なの。ぱぱがいれば、らぶらぶで、毎日楽しいはずだもん!」
「そうか……」
年若い希美ちゃんが1人で夏希を育てるのは、きっと大変だったはずだ。
その姿を一番近くで見ていたからこそ、幼子は父親のありがたみをよく認識している。
――新しいパパになってやるとでも、言えたらよかったんだが……。
その場しのぎの嘘を言うのには、抵抗がある。
俺はこれ以上話したら取り返しのつかないことになると悟り、少女と別れを告げた。
「それは君のお母さんの無事を確認してから、ゆっくり話をしよう。それじゃあ、行ってくる。いい子で、待っていてくれるか」
「うん! 行ってらっしゃい!」
こうして俺は、煙が立ち込める施設内を同僚とともに歩き――火元のフードコートへ辿り着く。
そして――今にも炎に焼かれて命を落としてしまいかねない危険な状態に陥り、テーブルの上でぐったりと細い身体を投げ出す希美ちゃんを抱き留めた。
「あなた、は……」
意識が朦朧としている中では、俺が誰なのかすらもよくわからないのだろう。
――もう二度と、離さない……。
俺は同僚と協力して火を消し止めたあと、母親の救助を待ち望む娘のもとへ彼女を送り届けるためにその場を立ち去った。
「夏希ちゃんは、新しいぱぱを探しているのか」
「うん。ままね、1人で大変なの。ぱぱがいれば、らぶらぶで、毎日楽しいはずだもん!」
「そうか……」
年若い希美ちゃんが1人で夏希を育てるのは、きっと大変だったはずだ。
その姿を一番近くで見ていたからこそ、幼子は父親のありがたみをよく認識している。
――新しいパパになってやるとでも、言えたらよかったんだが……。
その場しのぎの嘘を言うのには、抵抗がある。
俺はこれ以上話したら取り返しのつかないことになると悟り、少女と別れを告げた。
「それは君のお母さんの無事を確認してから、ゆっくり話をしよう。それじゃあ、行ってくる。いい子で、待っていてくれるか」
「うん! 行ってらっしゃい!」
こうして俺は、煙が立ち込める施設内を同僚とともに歩き――火元のフードコートへ辿り着く。
そして――今にも炎に焼かれて命を落としてしまいかねない危険な状態に陥り、テーブルの上でぐったりと細い身体を投げ出す希美ちゃんを抱き留めた。
「あなた、は……」
意識が朦朧としている中では、俺が誰なのかすらもよくわからないのだろう。
――もう二度と、離さない……。
俺は同僚と協力して火を消し止めたあと、母親の救助を待ち望む娘のもとへ彼女を送り届けるためにその場を立ち去った。