寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「ままを助けて!」
「ああ。もちろん。必ず、君に会わせる」
「やくそく、してくれる……?」
「もちろん」
そんな疑問をいだいていると、己が泣いていた理由を思い出した幼子が切羽詰まった様子で恐る恐るこちらに薬指だけを一本立てて小さな手を差し出した。
それを絡め取って握りしめ、何度か上下に揺らして契りを交わす。
その様子を見ていた女性は、鳩が豆鉄砲を食らったような表情で確信をついてきた。
「なんだい。消防士の兄さん、この子と随分と顔がそっくりだねぇ。まさか、娘だったり……」
「いや……」
「ぱぱ?」
いくら他人から自分が考えていることの指摘を受けたとしても、さすがにそれは確証が持てない。
希美ちゃんの子どもに期待を持たせて後々梯子を外して悲しませるのはかわいそうだと思って言葉を濁したのだが、どうやら「違う」とはっきり宣言しなかったせいで期待を持たせてしまったらしい。
瞳をキラキラと輝かせながら見つめる幼子にかける言葉が見つからぬまま、彼女は大声で俺に告げる。