寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「こんなことしたって、なんの意味もない。だから……俺と一緒に暮らそう」
それが嬉しくて堪らないと思うと同時に――得体のしれぬ恐怖を感じた。
やっぱり私は、この人と一緒にいる資格なんてない。離れよう。
そう決意を秘め、声を震わせながら片平さんを拒絶した。
「私はあなたと、一緒になんていられない……」
「希美ちゃんは俺のことが好きだし、この子だって俺が父親だと気づいている。離れたがらないのが、その証拠だ」
だが、彼だって「はいそうですか」と納得して身を引くつもりなど毛ほどもないのだろう。
愛おしそうに娘を見つめた片平さんが長い間離れて暮らしていた幼子をかわいがっているのは明らかだ。
自分の我儘で再び2人を引き離す罪悪感から逃れるように、視線を床に向けて拳を握りしめる。
「何があっても絶対、幸せにする。俺の元から姿を消すなら、何度だって探し出す」
「片平さん……」
「ずっと、好きだった。結婚しよう」
夏希を抱きかかえた彼は、いつの間にか手を伸ばせば届く距離まで移動していた。
片平さんがこちらを見つめる瞳は、真剣そのものだ。
そこに迷いは一切、感じられない。
私が彼にいだく感情をすべて知りながら、愛を囁くなど狂っている。
受け入れるべきではないと、わかっていたのに――夏希の幸せを最優先に考えるのであれば、突き放しきれなくて……。
それが嬉しくて堪らないと思うと同時に――得体のしれぬ恐怖を感じた。
やっぱり私は、この人と一緒にいる資格なんてない。離れよう。
そう決意を秘め、声を震わせながら片平さんを拒絶した。
「私はあなたと、一緒になんていられない……」
「希美ちゃんは俺のことが好きだし、この子だって俺が父親だと気づいている。離れたがらないのが、その証拠だ」
だが、彼だって「はいそうですか」と納得して身を引くつもりなど毛ほどもないのだろう。
愛おしそうに娘を見つめた片平さんが長い間離れて暮らしていた幼子をかわいがっているのは明らかだ。
自分の我儘で再び2人を引き離す罪悪感から逃れるように、視線を床に向けて拳を握りしめる。
「何があっても絶対、幸せにする。俺の元から姿を消すなら、何度だって探し出す」
「片平さん……」
「ずっと、好きだった。結婚しよう」
夏希を抱きかかえた彼は、いつの間にか手を伸ばせば届く距離まで移動していた。
片平さんがこちらを見つめる瞳は、真剣そのものだ。
そこに迷いは一切、感じられない。
私が彼にいだく感情をすべて知りながら、愛を囁くなど狂っている。
受け入れるべきではないと、わかっていたのに――夏希の幸せを最優先に考えるのであれば、突き放しきれなくて……。