恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?

「……めちゃめちゃ、よかった……」

 顔を手で覆い、私は「はーっ」と長い息をつく。
 上映が終わり、明るくなって、人々が次々にシアターを出て行く。
 そんな中私はたった今見たばかりの映画の余韻に浸りまくっていた。

「……尊すぎるよ……こんなの……」

 映画の内容は思ったよりもコメディよりだった。恋愛映画というから、大体中悲哀、最後ハッピーエンドって感じを想像していたんだけれど、ただただ可愛らしいじれもだ胸キュンシーンが盛り沢山のハッピーなラブコメだった。

「私、こういうの好きかも……!」

 新たな自分の好みの発見だった。

「楽しめたみたいでよかった」
 と氷上さんが隣で微笑んで、私ははっとする。

 そうだった……!私、今氷上さんとデート中だった……!
 映画に夢中になってしまって、小説の勉強のためのデートだということをすっかり忘れていた。

「す、すみませんっ!長居してしまいましたっ、出ましょう!」

 私は慌てて立ち上がる。しかし慌てたせいで段差に躓いてしまい、私はバランスを崩した。

「わっ」
「おっと」

 しかし私の身体は氷上さんによって支えられ、膝をつくことも手をつくこともなかった。

「美琴さん、大丈夫ですか?」

 すぐ頭の上で氷上さんの声が聞こえ、後ろから抱きしめられる形になっていることに気が付いた私は、「す、すみませんっ」と、氷上さんから離れた。

「あ、ありがとうございます……」
「いえ。美琴さんが無事ならいいんです」

 向けられた爽やかな笑顔に、胸がキュンと疼く。
 氷上さん、紳士すぎる……!

「あっ」と驚いた様な声を上げた氷上さんは、すぐに照れくさそうに笑う。

「俺も敬語に戻っちゃってましたね」
「そういえば……」

 そんな他愛もないことで二人笑い合って、映画館を後にした。


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