恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?
到着したのはまさに夜景の見える高級レストランだった。
大きな真っ白のお皿の上にちょこんと料理が載っていて、なんだか見たこともないような料理ばかりだった。
ドレスコードもないしそこまで高い店ではない、と氷上さんは言ってくれたけれど、私にとっては十分緊張する高級レストランだった。
「美琴さん、美味しい?」
「えっ、あ、うん……、とっても……」
とは答えるものの、緊張しすぎてその味はよくわからなかった。
「よかった」と言って笑う氷上さんに、私は尋ねる。
「あの……、どうしてここまでしてくれるのでしょうか……。確かに私は恋愛描写ド下手くそ恋愛小説家ですが……」
私の言葉に、氷上さんは穏やかに微笑む。
「昨日も話したけど、美琴さんの小説の助けになればいいと思ったのは本当。でもそれだけじゃなくて、ただ単に俺が美琴さんとデートしたかったからです」
「へ……?」
「美琴さん、多分すっかり忘れていそうなのでもう一度言うけれど、俺は貴女が好きなんです」
ぽかん……。私はまたも大口をあんぐりと開ける。
「貴女に惹かれているからこそ貴女とデートがしたかったし、貴女の小説のためなら俺はいくらでも力を貸したい」
氷上さんの言葉に私は目をぱちぱちさせるしかなかった。
本当に……?氷上さんが私を好き……?だって、少し前に会ったばかりで私のことなんてきっと全然知らないはずなのに。
一目惚れしてもらうような魅力は、私なんかには絶対にない。
私を好きになってくれた人なんて、一人もいなかったのに……。
「……私、恋愛経験が全くないんです……」
私の口から、ぽつりとそんな言葉が漏れていた。
「人生で一度も恋愛をしたことがありません。男性ともほとんど接してこなかったんです。……そんな私が恋愛小説家をやっているなんて笑っちゃいますよね」
自嘲気味に私が言うと、氷上さんは首を横に振った。