恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?
ディナーを終えた私達は、二人でそのままうちに帰ってきた。
そのまま自室のベッドに押し倒され、私は背中をベッドに預けながら上に覆い被さる氷上さんをぼんやりと見つめていた。
氷上さんは、困ったように私を見下ろしている。
「美琴さんが止めてくれないと、もう俺じゃ止まれないんですが……」
さっきまで落ち着いた雰囲気だった氷上さんは、何かを我慢しているかのように私に尋ねる。
そんな余裕のなさそうな氷上さんを見るのは、初めてだった。
「と、止まらなくて、だ、大丈夫です……っ」
私の言葉が終わるや否や、氷上さんは私に口付けを落とす。
それは酷く優しく甘いものだった。
これが、キスなんだ……。
柔らかな唇が押し当てられ、ただそれだけのことに嬉しさと幸福感が押し寄せる。
氷上さんが私の頬を撫で、その手が次第に身体を優しく滑っていく。
お、大人の恋愛ってこういうものなんか……!?
ドキドキとうるさい心臓に、息苦しさすら感じる。
触られてびくっと私の身体が跳ねた瞬間、脳内に今日のデートの映像とそれとは全く別の映像が溢れ出す。
ぼんやりしていた脳を叩き起こすように、私ははっと起き上がる。
「書かなきゃ……!」
「え?」
私の脳内に溢れた映像。それは今執筆している小説の次なる展開、言わばアイディアたちだった。
私は寝室を飛び出し、仕事机にあるノートに鉛筆で書きなぐる。
そのまま何かに取り憑かれたように溢れたアイディアをノートに書きなぐり続けた。
氷上さんを一人、残しながら……。