恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?
そんな私に氷上さんは、人の気も知らないでまた甘い言葉をかけてくるのだ。
「……また、俺が教えましょうか?」
その言葉に私はぱっと顔を上げた。
「もういいんですっ!」
「え?」
我慢の限界だった。私は気持ちを氷上さんにぶつける。
「もうそういうのはいいんです!恋愛小説家の私が、恋愛未経験だからって気を使ってくれたのかもしれませんけど、逆にどんどん自分が惨めに見えて辛いんです!」
私の言葉に氷上さんは驚いた様に目を見開いていた。
「氷上さん、本当は付き合っている女性がいますよね?私、昨日見たんです。二人が仲良く歩いて行く姿を」
兄妹や親戚だと思いたかった。けれど顔は全く似ていなかったし、あの距離はどうしても恋人だと思わざるを得なかった。
「最初から私をからかっていたんですか?私が恋愛経験がないからって、ちょろい女だってからかっていたんですか?」
「そんなわけ……」
「そういうのもういいんです!どうせ誰も、私のことなんて好きにならない……」
無意識に私の頬を涙が伝う。
どうせ私のことなんて好きにならない。だって私のお父さんも、私を捨てたのだから。
母を裏切り浮気して離婚した父。どんな男性も、もしかしたら父みたいにすぐに浮気して私から離れていくんじゃないか、そう思うと男性と関わることができなかったし、恋愛に前向きになれなかった。関わって裏切られるのが怖かった。だから私は男性が苦手だ。
それなのに。
「氷上さんのことなんて、好きになるんじゃなかったぁ~……っ!!」
私は氷上さんのことを好きになってしまった。
氷上さんは泣きじゃくる私を優しく抱きしめる。私を落ち着かせるように背中を撫で、私が落ち着くまでぎゅっと抱きしめてくれていた。