恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?
「主人公のヒロインは、恋愛小説家、なんてどうですか?」
「恋愛小説家……」
「琴葉先生と同じ境遇なら、少しは書きやすいんじゃないかなって思ったんです」
「な、なるほど……」
「ヒーローの案は結構あるんですけど、例えば……」
悲観していた次回作の打ち合わせはなんだかんだスムーズに進んで、ある程度の話がまとまった。
「これでプロット練れそうですかね?」
「は、はい……!いけそうな気がします……」
私も恵さんもほっと息をついた。
恵さんが手帳をパタンと閉めて、それを鞄に戻す。
「あ、そうだ」と何か思い出したように慌てて話し始める恵さん。
「琴葉先生、すみません。私、大事な話をするのを忘れていました」
「だ、大事な話?」
まさか今作を最後にクビとか、このレーベルからは今後無理とかそういう話かと、一瞬でそこまでネガティブなことを考えていると、恵さんの話はこうだった。
「私、来月から産休に入るんです」
「さんきゅー?」
サンキュー?thank you??
ぽかんと首を傾げる私に、「はい、子供が生まれるんです」と恵さん。
「え!?そうだったんですか!?お、おめでとうございます!」
確かに恵さんは二年前に結婚されていたけれど、体型が全く変わっていなかったので、まさかお腹に子供がいるとは思わなかった。