恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?
「こんにちは、琴葉先生。恵の後任を務めます、氷上 大和と申します」
ぴしっとした高そうなスーツに身を包んだ高身長の男性は、その端正な顔に笑みを浮かべながら恭しく頭を下げた。
目の前の芸能人ばりにキラキラした男性をぽかんと見つめていた私は、はっとして我に返る。
「咲坂……美琴です……。あ、琴葉、です……。ど、どうぞ、オアガリクダサイ……」
「お邪魔いたします」
爽やかな笑みを浮かべた氷上さんは、丁寧に靴を脱いで私のあとについてリビングへとやってくる。
「どうぞ、こちらでお寛ぎください……」
「ありがとうございます」
氷上さんをダイニングテーブルへご案内した私は、「お、お、お茶淹れてきますっ」と言ってキッチンに引っ込んだ。
「なんじゃあ!?あのキラキラな男性は!?アイドルか?芸能人かなんかか!?」
編集長というからもっと生真面目で眼鏡で落ち着いた雰囲気の人が来ると勝手に想像し、イメージトレーニングまでしていた。
しかしやってきたのはあまりにイケメン過ぎるキラキラオーラ半端ない男性だった。
歳は私と同じくらいに見えるけれど、編集長という肩書も持っているし少し上かもしれない。もちろん若くして編集長ということもあるかもしれないけれど。
「男性ってだけでも苦手なのに、なんだかすごく苦手なタイプっぽいかも……」
人を見た目で判断してはいけない。
しかし、陰キャである私は自分の身を守るため、ひいては自分の心守るため、人を見た目で判断させていただきます。
「とにかく今日は初めてだし、顔合わせも兼ねてだし……。今後はメールオンリーにしてもらおう……」
そう心に誓って、私はまた貰い物のよくわからない美味しい紅茶を盆に載せ氷上さんの元へ戻る。
本当は当然戻りたくなんてないけれど、一生戻らないわけにもいかないからね……。
なにやらスケジュール帳を捲っていた氷上さんは、私の持ってきた紅茶の食器の音にぱっと顔を上げた。
「お、お待たせしました……」