呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
賢女の身はたちまち薄紫の光の粒子に変わり果てた。その光はやがて蝶の形を形成し、ひらひらと飛び立つと闇の奥へ光る一つの光になってしまった。
「おばあさま!」
ベルティーナは叫ぶが、その声はもう届きもしなかった。
それから二拍、三拍と経過してからだった。
「……おい、ベル? ベル……大丈夫か?」
間近から響くミランの声に促され、ベルティーナははっと意識を取り戻した。
自分の視界の先、一際輝く星の色は闇の奥に光っていた賢女だったものとまったく同じ色。
──あれは嘘ではない。幻でもない。きっと……そう。
なんとなくそう悟って、またもベルティーナの瞳にはから涙がこぼれ落ちる。
泣いていてはいけない。小賢しいほどに聡くあることが約束だ。それに最高の復讐は自分の幸福なのだから。
ベルティーナは涙で濡れた瞳を真正面に立つミランに向けて、ふわりと微笑んだ。
「……ええ、喜んで誓うわ。私は貴方と生きる。ここが私の居場所。私は、この翳りの国で貴方の隣で咲き誇るわ」
涙ながらにベルティーナがはっきりと告げたそのときだった。
彼に顎を摘ままれ上を向かされた。そして交わされるのは何よりも甘やかな口づけで──。
二人は満天の星と闇に祝福され、永遠の愛を誓った。
***
──薔薇の茨では生ぬるい。その冷たさを喩えるのであればまるで毒。王女ベラドンナ。否、ベルティーナ。
そう呼ばれた彼女は翳りの国で夜の祝福を受け、後の生涯をつがいである竜王ミランと寄り添い、二人の間にできたたくさんの子どもたちと幸せに暮らしたらしい。
彼女は妖しくも美しい毒の花を咲かせた竜。
華竜の王妃とさえ呼ばれたらしい。その美しさは、ひと目みただけで、魔性の者たちを魅了するほどだったと言われている。
しかし、翳りの国は鏡像にして複製世界。
天災に見舞われることがあり、決して平穏ばかりな暮らしではなかった。
だが、小賢しいほどに聡明な彼女のおかげで救われた命は数知れず。王妃でありながらもナハトベルグの最初の薬師として、彼女の存在は後に語り継がれた。
─おわり─
「おばあさま!」
ベルティーナは叫ぶが、その声はもう届きもしなかった。
それから二拍、三拍と経過してからだった。
「……おい、ベル? ベル……大丈夫か?」
間近から響くミランの声に促され、ベルティーナははっと意識を取り戻した。
自分の視界の先、一際輝く星の色は闇の奥に光っていた賢女だったものとまったく同じ色。
──あれは嘘ではない。幻でもない。きっと……そう。
なんとなくそう悟って、またもベルティーナの瞳にはから涙がこぼれ落ちる。
泣いていてはいけない。小賢しいほどに聡くあることが約束だ。それに最高の復讐は自分の幸福なのだから。
ベルティーナは涙で濡れた瞳を真正面に立つミランに向けて、ふわりと微笑んだ。
「……ええ、喜んで誓うわ。私は貴方と生きる。ここが私の居場所。私は、この翳りの国で貴方の隣で咲き誇るわ」
涙ながらにベルティーナがはっきりと告げたそのときだった。
彼に顎を摘ままれ上を向かされた。そして交わされるのは何よりも甘やかな口づけで──。
二人は満天の星と闇に祝福され、永遠の愛を誓った。
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──薔薇の茨では生ぬるい。その冷たさを喩えるのであればまるで毒。王女ベラドンナ。否、ベルティーナ。
そう呼ばれた彼女は翳りの国で夜の祝福を受け、後の生涯をつがいである竜王ミランと寄り添い、二人の間にできたたくさんの子どもたちと幸せに暮らしたらしい。
彼女は妖しくも美しい毒の花を咲かせた竜。
華竜の王妃とさえ呼ばれたらしい。その美しさは、ひと目みただけで、魔性の者たちを魅了するほどだったと言われている。
しかし、翳りの国は鏡像にして複製世界。
天災に見舞われることがあり、決して平穏ばかりな暮らしではなかった。
だが、小賢しいほどに聡明な彼女のおかげで救われた命は数知れず。王妃でありながらもナハトベルグの最初の薬師として、彼女の存在は後に語り継がれた。
─おわり─
