呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
第11話 闇に堕ちる咆哮、響く庭園
日没間近から作業を初めて数時間。
すっかり夜の帳が落ちるが……近くの木々に煌々とした光が沢山くついている事から、視界も良好で不便なく作業は進んだ。
あれを初めて見た時は、木の至る場所に燭台がくっついているのかと思ったが……大地の含む魔力で灯る発光球体が付けられているそうだ。翳りの国では、このような明かりが至る場所についており、ほんのりと闇の世界を照らすそうである。
ならば、日中に活動した方が良い……と思うのに。この国は、夜と影──闇を愛する不思議な世界だとベルティーナは知った。
ある意味、夜を信仰しているように捉える事も出来る。
──恵みの星、母なる月、全てを包む慈悲深き闇。なんて言葉を幾度か聞いたが、そこに神という存在は無いらしい。つまり、この世界に教会という宗教的建造物は一切無いそうだ。
それでも、この世界の夜型生活に慣れ始めて、夜を信仰する意味を分かったような気がした。何せ、本当にこの国の夜は本当に美しいのだから。
空を見上げると、満天の星。闇を際立たせる魔力の光で彩る夜景。それは何度見たって息を飲む程に美しい。
ベルティーナは額から滲む汗を拭い、闇を照らす木々の明かりを見上げた。
「綺麗ですよね……。翳りの国はとてつもなく陰気で怖い場所とばかり思い込んでましたが、見当違いでした」
ハンナはベルティーナの隣に立ち、同じように木々を見上げてぽつりと言う。
「そうね。魔性の者が住まう世界ですもの。情報なんて何も無い。私だってそう思っていたけれど、とても美しい場所だと思ったわ」
淡々と言って、ハンナに視線をやると彼女は嬉しそうに目を細めた。
「……それはさておき。貴女、意外と力があるのね?」
そう言って、ベルティーナは先程まで作業をしていた花壇に目をやった。
侍女達……主にハンナが大いに活躍した事もあり、地は耕され植え込みも終わった。
だが、そこには既に双子の侍女の姿無く、ベルティーナは辺りを頻りに見渡す。
「あの二人でしたら……湯船のお湯とお茶を用意すると、つい先程行きましたよ」
本当にいつの間にやら。まったく気付きもしなかった。そんな風に思いつつ、再びハンナの方を向くと、彼女は少しばかり照れ臭そうに笑んだ。
「私、やっぱりベルティーナ様に着いて来てよかったって思いました」
すっかり夜の帳が落ちるが……近くの木々に煌々とした光が沢山くついている事から、視界も良好で不便なく作業は進んだ。
あれを初めて見た時は、木の至る場所に燭台がくっついているのかと思ったが……大地の含む魔力で灯る発光球体が付けられているそうだ。翳りの国では、このような明かりが至る場所についており、ほんのりと闇の世界を照らすそうである。
ならば、日中に活動した方が良い……と思うのに。この国は、夜と影──闇を愛する不思議な世界だとベルティーナは知った。
ある意味、夜を信仰しているように捉える事も出来る。
──恵みの星、母なる月、全てを包む慈悲深き闇。なんて言葉を幾度か聞いたが、そこに神という存在は無いらしい。つまり、この世界に教会という宗教的建造物は一切無いそうだ。
それでも、この世界の夜型生活に慣れ始めて、夜を信仰する意味を分かったような気がした。何せ、本当にこの国の夜は本当に美しいのだから。
空を見上げると、満天の星。闇を際立たせる魔力の光で彩る夜景。それは何度見たって息を飲む程に美しい。
ベルティーナは額から滲む汗を拭い、闇を照らす木々の明かりを見上げた。
「綺麗ですよね……。翳りの国はとてつもなく陰気で怖い場所とばかり思い込んでましたが、見当違いでした」
ハンナはベルティーナの隣に立ち、同じように木々を見上げてぽつりと言う。
「そうね。魔性の者が住まう世界ですもの。情報なんて何も無い。私だってそう思っていたけれど、とても美しい場所だと思ったわ」
淡々と言って、ハンナに視線をやると彼女は嬉しそうに目を細めた。
「……それはさておき。貴女、意外と力があるのね?」
そう言って、ベルティーナは先程まで作業をしていた花壇に目をやった。
侍女達……主にハンナが大いに活躍した事もあり、地は耕され植え込みも終わった。
だが、そこには既に双子の侍女の姿無く、ベルティーナは辺りを頻りに見渡す。
「あの二人でしたら……湯船のお湯とお茶を用意すると、つい先程行きましたよ」
本当にいつの間にやら。まったく気付きもしなかった。そんな風に思いつつ、再びハンナの方を向くと、彼女は少しばかり照れ臭そうに笑んだ。
「私、やっぱりベルティーナ様に着いて来てよかったって思いました」