森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
◇
いくつか街を経て、今日も今日とて馬車の旅だ。早朝の出発だったせいか、いつの間にか眠りこけていたようだ。ジークヴァルトにゆり起こされて、眠たい目を小さくこする。御者が扉を開けるや否や、冷たい風が吹き込んできた。
「随分と肌寒いですわね」
「大分北に来たからな」
見回すと、解けないままの雪があちこちに積もっている。もこもこのコートを着せられて、リーゼロッテは馬車から降り立った。
エスコートのために手を差し伸べられる。抱き上げてこないところを見ると、今日は貴族のお宅訪問らしい。
「こちらは……?」
「ブルーメ子爵家だ。泊まりはしないが、昼食に招待されている」
ブルーメ家は父イグナーツの実家だ。子爵はイグナーツの従兄で、とても温厚そうな人物だった。
「よくぞおいでくださいました」
「ご招待ありがとうございます、ブルーメ子爵様」
礼を取ったあと、リーゼロッテはさりげなく周囲を見回した。会えると思っていた赤毛の令嬢の姿を探す。
「ルチア様はいらっしゃらないのですか?」
「義娘は客人と出かけておりましてな。直に戻ってくることでしょう。さ、昼食の席にご案内いたします。どうぞこちらへ」
少し残念に思いつつ、リーゼロッテはおとなしくそれに従った。
食事に舌鼓を打ったあと、ジークヴァルトとともに庭の見えるサロンに移動する。ルチアが戻ってきているとの子爵の知らせに、進む足取りも早まった。
「やあ、リーゼロッテ嬢。ここで待ってれば会えると思ったよ」
「カイ様!?」
「え? カイはリーゼロッテ様と知り合いだったの?」
後ろからルチアが顔を覗かせた。ふたりの方こそ知り合いだったのか。リーゼロッテは目を丸くした。
(そう言えばデルプフェルト家の夜会に、ルチア様も招待されてたっけ……)
いくつか街を経て、今日も今日とて馬車の旅だ。早朝の出発だったせいか、いつの間にか眠りこけていたようだ。ジークヴァルトにゆり起こされて、眠たい目を小さくこする。御者が扉を開けるや否や、冷たい風が吹き込んできた。
「随分と肌寒いですわね」
「大分北に来たからな」
見回すと、解けないままの雪があちこちに積もっている。もこもこのコートを着せられて、リーゼロッテは馬車から降り立った。
エスコートのために手を差し伸べられる。抱き上げてこないところを見ると、今日は貴族のお宅訪問らしい。
「こちらは……?」
「ブルーメ子爵家だ。泊まりはしないが、昼食に招待されている」
ブルーメ家は父イグナーツの実家だ。子爵はイグナーツの従兄で、とても温厚そうな人物だった。
「よくぞおいでくださいました」
「ご招待ありがとうございます、ブルーメ子爵様」
礼を取ったあと、リーゼロッテはさりげなく周囲を見回した。会えると思っていた赤毛の令嬢の姿を探す。
「ルチア様はいらっしゃらないのですか?」
「義娘は客人と出かけておりましてな。直に戻ってくることでしょう。さ、昼食の席にご案内いたします。どうぞこちらへ」
少し残念に思いつつ、リーゼロッテはおとなしくそれに従った。
食事に舌鼓を打ったあと、ジークヴァルトとともに庭の見えるサロンに移動する。ルチアが戻ってきているとの子爵の知らせに、進む足取りも早まった。
「やあ、リーゼロッテ嬢。ここで待ってれば会えると思ったよ」
「カイ様!?」
「え? カイはリーゼロッテ様と知り合いだったの?」
後ろからルチアが顔を覗かせた。ふたりの方こそ知り合いだったのか。リーゼロッテは目を丸くした。
(そう言えばデルプフェルト家の夜会に、ルチア様も招待されてたっけ……)