森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
それにしてもふたりの近い距離感を不思議に思って、リーゼロッテは小さく首を傾ける。今までの交流で、ルチアはどことなくこちらに距離をおいていた。カイに対しては素で接しているように見え、彼の人柄を思えばそれもまた納得できる気がした。
「そんなことよりもルチア、ちゃんと挨拶しないと」
「あ……ようこそおいでくださいました、公爵様、リーゼロッテ様」
「こちらこそご招待ありがとうございます。ルチア様もお元気そうでなによりですわ」
ルチアの淑女の礼に同じく礼を返した。すっかり板についた令嬢ぶりに、リーゼロッテの顔は自然と綻んだ。
「もしかしてイグナーツ父様もいらっしゃるのですか?」
「イグナーツ様はあのあと山に向かったよ。送っていった帰りに、オレはここに寄っただけだから」
「そうですか……」
期待した分だけしゅんとなる。そんなリーゼロッテの頭を、ジークヴァルトはぽんぽんとなでてきた。
「イグナーツ様はまだ奥さんを探しに行ってるの?」
「うん、毎年恒例だからね。今年は雪解けが遅くて、出発が今になったけど」
「ルチア様は父とお知り合いなのですか?」
従兄であるブルーメ子爵の養子になったのだ。ふたりに面識があっても何もおかしくはない。だがマルグリットを探していることを話すほどに、ルチアとイグナーツは親しいのだろうか。
「イグナーツ様は母さんの知り合いで……。それで随分と助けていただきました」
ルチアはかなしそうに瞳を伏せた。母さんとは亡くなったという実母のことなのだろう。余計なことを聞いてしまった。そう思ってリーゼロッテは、そうでしたの、とだけ小さく返した。
「そろそろ時間だ」
「はは、ジークヴァルト様、我慢も限界ですよね。こんなまだるっこしい行程の中、ふたりきりでいてよく耐えられますね」
「カイ」
遮るように睨みつけたジークヴァルトに、カイは怖い怖いと肩を竦めた。
「ここを出たら、マルギタの街まで一直線だね」
「マルギタの街?」
「最果ての街だよ。そこまで行けばシネヴァの森は目の前だ」
いよいよ目的の地に辿り着く。リーゼロッテの胸はいたずらに高鳴った。
「そんなことよりもルチア、ちゃんと挨拶しないと」
「あ……ようこそおいでくださいました、公爵様、リーゼロッテ様」
「こちらこそご招待ありがとうございます。ルチア様もお元気そうでなによりですわ」
ルチアの淑女の礼に同じく礼を返した。すっかり板についた令嬢ぶりに、リーゼロッテの顔は自然と綻んだ。
「もしかしてイグナーツ父様もいらっしゃるのですか?」
「イグナーツ様はあのあと山に向かったよ。送っていった帰りに、オレはここに寄っただけだから」
「そうですか……」
期待した分だけしゅんとなる。そんなリーゼロッテの頭を、ジークヴァルトはぽんぽんとなでてきた。
「イグナーツ様はまだ奥さんを探しに行ってるの?」
「うん、毎年恒例だからね。今年は雪解けが遅くて、出発が今になったけど」
「ルチア様は父とお知り合いなのですか?」
従兄であるブルーメ子爵の養子になったのだ。ふたりに面識があっても何もおかしくはない。だがマルグリットを探していることを話すほどに、ルチアとイグナーツは親しいのだろうか。
「イグナーツ様は母さんの知り合いで……。それで随分と助けていただきました」
ルチアはかなしそうに瞳を伏せた。母さんとは亡くなったという実母のことなのだろう。余計なことを聞いてしまった。そう思ってリーゼロッテは、そうでしたの、とだけ小さく返した。
「そろそろ時間だ」
「はは、ジークヴァルト様、我慢も限界ですよね。こんなまだるっこしい行程の中、ふたりきりでいてよく耐えられますね」
「カイ」
遮るように睨みつけたジークヴァルトに、カイは怖い怖いと肩を竦めた。
「ここを出たら、マルギタの街まで一直線だね」
「マルギタの街?」
「最果ての街だよ。そこまで行けばシネヴァの森は目の前だ」
いよいよ目的の地に辿り着く。リーゼロッテの胸はいたずらに高鳴った。