森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
◇
翌朝、簡単な朝食を済ませてから、リーゼロッテはジークヴァルトとともに外に出た。泊まった宿も小さかったが、雪に埋もれた街全体が何もない印象だった。
(街と言うより村って感じね)
設備もろくに整ってなくて、住民もみな純朴そうだ。着ている衣服も防寒重視で、流行りも何もなさそうに見えた。
待機していると思っていた馬車はどこにもない。きょろきょろ見回していると、いきなり大勢の少女たちに囲まれた。
「姉様はこちら」
「兄様はあちら」
ジークヴァルトは恰幅のいいおばさんたちに囲まれて、あっという間にどこかへ連れていかれてしまった。寒さで頬を赤くした少女たちに背を押され、リーゼロッテも反対方向へと進まされる。
「え? あの、どこへ?」
「いいからいいから」
戸惑うリーゼロッテなどお構いなしだ。たのしげに歌いながら、少女たちはリーゼロッテを連れていく。ぐいぐいと進んだ先で、みなで一緒に一軒の家へとなだれ込んだ。
「姉様、お待ちしておりました」
もう少し年上の少女が、中で数人待っていた。来た少女たちから引き渡されて、部屋の奥へと導かれる。入口では残りの少女たちが、ぎゅうぎゅうと折り重なってこちらを覗き込んでいた。
「うるさくってごめんなさい。シネヴァの森に入る外人は本当に久しぶりで」
「姉様には未婚の女しか触れちゃいけないの」
「シンシア様に会うために、今からうんとおめかししましょ?」
口々に言われ、誰に何を返事していいのか分からない。鏡の前に座らされ、化粧と髪結いが始まった。
「なんて綺麗な肌! もっちもちでつねりたくなっちゃう!」
「髪だってさらさらよ! これで手袋に刺繍したら最高ね!」
「ほめちぎってないでほら、手を動かしなさい!」
それは果たしてほめ言葉なのだろうか? 疑問に思うものの少女たちの勢いに口をはさめない。
「ほうら、魔女様のお見立て通りにできあがり!」
「うん、すてきすてき!」
「次はお衣裳! さぁ、立って立って」
促され立ち上がると、あっという間に服を脱がされた。かと思うと真っ白な布が、目の前に大きく広げられる。
「姉様の右手はこっち」
「左手はこっち」
「この紐はここと結んで」
「この紐はあそこに回して」
複雑怪奇な仕組みの服で、着せてもらっているのにどこがどうなっているのかよく分からない。
翌朝、簡単な朝食を済ませてから、リーゼロッテはジークヴァルトとともに外に出た。泊まった宿も小さかったが、雪に埋もれた街全体が何もない印象だった。
(街と言うより村って感じね)
設備もろくに整ってなくて、住民もみな純朴そうだ。着ている衣服も防寒重視で、流行りも何もなさそうに見えた。
待機していると思っていた馬車はどこにもない。きょろきょろ見回していると、いきなり大勢の少女たちに囲まれた。
「姉様はこちら」
「兄様はあちら」
ジークヴァルトは恰幅のいいおばさんたちに囲まれて、あっという間にどこかへ連れていかれてしまった。寒さで頬を赤くした少女たちに背を押され、リーゼロッテも反対方向へと進まされる。
「え? あの、どこへ?」
「いいからいいから」
戸惑うリーゼロッテなどお構いなしだ。たのしげに歌いながら、少女たちはリーゼロッテを連れていく。ぐいぐいと進んだ先で、みなで一緒に一軒の家へとなだれ込んだ。
「姉様、お待ちしておりました」
もう少し年上の少女が、中で数人待っていた。来た少女たちから引き渡されて、部屋の奥へと導かれる。入口では残りの少女たちが、ぎゅうぎゅうと折り重なってこちらを覗き込んでいた。
「うるさくってごめんなさい。シネヴァの森に入る外人は本当に久しぶりで」
「姉様には未婚の女しか触れちゃいけないの」
「シンシア様に会うために、今からうんとおめかししましょ?」
口々に言われ、誰に何を返事していいのか分からない。鏡の前に座らされ、化粧と髪結いが始まった。
「なんて綺麗な肌! もっちもちでつねりたくなっちゃう!」
「髪だってさらさらよ! これで手袋に刺繍したら最高ね!」
「ほめちぎってないでほら、手を動かしなさい!」
それは果たしてほめ言葉なのだろうか? 疑問に思うものの少女たちの勢いに口をはさめない。
「ほうら、魔女様のお見立て通りにできあがり!」
「うん、すてきすてき!」
「次はお衣裳! さぁ、立って立って」
促され立ち上がると、あっという間に服を脱がされた。かと思うと真っ白な布が、目の前に大きく広げられる。
「姉様の右手はこっち」
「左手はこっち」
「この紐はここと結んで」
「この紐はあそこに回して」
複雑怪奇な仕組みの服で、着せてもらっているのにどこがどうなっているのかよく分からない。