森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
「きゃあ! あれはグレーデン様よ!」
「騎士団に入られたって本当だったのね!」
「騎士服姿が似合いすぎてる!」
見るとニコラウスを連れたエーミールが訓練場にやってきていた。ふたりは近衛騎士ではなく砦の王城騎士の制服を着ている。
「今日はジークヴァルト様が復帰なさると聞き、顔を出させてもらった」
「いやぁ、飛び入りですみません……」
「グレーデン殿にブラル殿か。いいだろう、こちらとしても相手に不足なしだ。おい、貴様ら! 今日はトーナメント方式で行くぞ。全員くじを引いて公正に行う。いつも言っているが、ここでは身分は一切忘れろ。手加減するような奴は除隊にするからな!」
キュプカーのひと言で、訓練場が沸き立った。人数が多いため一度に数組の手合わせが開始され、観客席からも黄色い声援が飛び交っている。
「きゃーっグレーデン様の剣さばき、すてきー!」
「フーゲンベルク公爵様の雄姿、しびれるぅ~!」
よく聞くと声援を飛ばされているのは、ごく限られた人間だけだ。モブ騎士たちも何とか令嬢の目に留まろうと、あちこちで激しい攻防が繰り広げられていた。
あからさまな声援をよそに、リーゼロッテたちは慎ましやかに応援していた。
「あ、ヴァルト様! あっあっあっ……! ああ、よかった……」
きわどい一手を避けたジークヴァルトが相手を打ち負かし、リーゼロッテの口から安堵の息がもれた。ハラハラする場面では顔を覆い、勝利を収めては破顔する。先ほどからそれを繰り返しているリーゼロッテを、エマニュエルは微笑ましそうに眺めていた。
「あっ! マテアス、危ない! そう、そこ、今よ! やっちゃいなさい!」
一方エラは、ファイティングポーズでマテアスばかりを目で追っている。時折漏れる声援が名司令塔のようで、驚きと共にエマニュエルからくすりと笑みが漏れて出た。
「ねぇ、エマニュエル様。あの大きな方はカーク子爵家のヨハン様ですわよね?」
「ええ、そうですけれど……」
「なんて素敵な筋肉をお持ちなの……! エマニュエル様、あとでわたくしに紹介してくださらないかしら?」
「ヨハン様をですか? それはもちろん構いませんが……」
突然のヤスミンの頼みに、エマニュエルはひたすら戸惑った。恋する乙女のような瞳で、ヤスミンはヨハンの戦う姿に見とれている。あのモジモジ大男のヨハンにこんな反応をする令嬢など、今までひとりも見たことがない。
「騎士団に入られたって本当だったのね!」
「騎士服姿が似合いすぎてる!」
見るとニコラウスを連れたエーミールが訓練場にやってきていた。ふたりは近衛騎士ではなく砦の王城騎士の制服を着ている。
「今日はジークヴァルト様が復帰なさると聞き、顔を出させてもらった」
「いやぁ、飛び入りですみません……」
「グレーデン殿にブラル殿か。いいだろう、こちらとしても相手に不足なしだ。おい、貴様ら! 今日はトーナメント方式で行くぞ。全員くじを引いて公正に行う。いつも言っているが、ここでは身分は一切忘れろ。手加減するような奴は除隊にするからな!」
キュプカーのひと言で、訓練場が沸き立った。人数が多いため一度に数組の手合わせが開始され、観客席からも黄色い声援が飛び交っている。
「きゃーっグレーデン様の剣さばき、すてきー!」
「フーゲンベルク公爵様の雄姿、しびれるぅ~!」
よく聞くと声援を飛ばされているのは、ごく限られた人間だけだ。モブ騎士たちも何とか令嬢の目に留まろうと、あちこちで激しい攻防が繰り広げられていた。
あからさまな声援をよそに、リーゼロッテたちは慎ましやかに応援していた。
「あ、ヴァルト様! あっあっあっ……! ああ、よかった……」
きわどい一手を避けたジークヴァルトが相手を打ち負かし、リーゼロッテの口から安堵の息がもれた。ハラハラする場面では顔を覆い、勝利を収めては破顔する。先ほどからそれを繰り返しているリーゼロッテを、エマニュエルは微笑ましそうに眺めていた。
「あっ! マテアス、危ない! そう、そこ、今よ! やっちゃいなさい!」
一方エラは、ファイティングポーズでマテアスばかりを目で追っている。時折漏れる声援が名司令塔のようで、驚きと共にエマニュエルからくすりと笑みが漏れて出た。
「ねぇ、エマニュエル様。あの大きな方はカーク子爵家のヨハン様ですわよね?」
「ええ、そうですけれど……」
「なんて素敵な筋肉をお持ちなの……! エマニュエル様、あとでわたくしに紹介してくださらないかしら?」
「ヨハン様をですか? それはもちろん構いませんが……」
突然のヤスミンの頼みに、エマニュエルはひたすら戸惑った。恋する乙女のような瞳で、ヤスミンはヨハンの戦う姿に見とれている。あのモジモジ大男のヨハンにこんな反応をする令嬢など、今までひとりも見たことがない。