森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
     ◇
「ではごゆっくり」

 湯あみの世話をすると、ラウラは建物を出ていった。向こうの部屋でジークヴァルトが待っている。そう言われ、ウキウキ顔で廊下を進む。
 扉を開けると、大きな暖炉が目に飛び込んできた。窓の外は雪が降り始め、窓ガラスに水滴が落ちている。

 ジークヴァルトは何をするでもなく待っていた。こういうときは大概書類に目を通しているのに。不思議に思いつつ、待たせただろうとリーゼロッテは謝罪の言葉を口にした。

「お待たせして申し訳ございません」
「いい。問題ない」

 そっけなく返されて、膝の上に乗せられる。目の前のテーブルには、ひと口サイズの料理やデザートが所狭しと並べられていた。

「腹は減ってないか?」
「そうですわね……」

 美味しそうな食事を前にして、急にお腹が空いてきた。神事を終えた解放感からか、今ならたくさん食べられそうだ。視線をさまよわせていると、ジークヴァルトが料理をひとつ差し出してくる。
 あーんとされて、迷いなくそれを口にした。ちょうど食べたいかもと思ったオードブルだ。もくもくと頬張る間に、並んだ料理に目を落とす。

 飲み込んで落ち着いたタイミングで、別の料理が差し出された。今度もあれがいいと思った一品だ。そんなことが三度四度と続いていく。
 ジークヴァルトはどれだけ自分をよく観察しているのだろうか。それをまざまざと見せつけられて、感激を通りこして半ば呆れてしまった。

(そろそろお腹いっぱいかも……)

 そうなったところで、ジークヴァルトの手も止まる。実は心の中を読まれているのでは。そう思うほどの絶妙な対応ぶりだ。

「満足したか?」
「はい、とっても美味しかったですわ。ヴァルト様はお食べにならないのですか?」
「オレはいい。先ほど適当に済ませておいた」

 やはり長い時間待たせていたのだろうか。食事を終えてしばしの間、部屋の中に沈黙がおりる。いつもなら髪のひとつも梳かれているところだ。どことなくジークヴァルトがよそよそしく感じて、リーゼロッテはこてんと首を傾けた。

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