森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
 いつもリーゼロッテが目を回してしまうからだろうか。今日の口づけは手加減をされながら、段階を追っていくように感じられた。

「んっふ……ん」

 鼻から抜ける声が恥ずかしくて、逃げようとする顔を包まれる。

(これ、いつまで続くんだろう)

 いつまでも終わりを見せない口づけに、そんな疑問が湧いてくる。ふわふわとしたまま延々と口づけられて、ジークヴァルトは一向にキスをやめようとしない。

(こんなとき、いつもどうやって終わってたっけ……)

 公爵家の執務室での光景が浮かんでくる。口づけられて目を回す自分。騒ぎ出す異形の者に、ひっくり返る部屋の中。そこに血相を変えたマテアスが、叫びながら止めに入るのがいつものことだ。

(ここ、異形、いない! マテアスも、いない……!)

 外はしんしんと雪が降っていて、(まき)()ぜる音が時折響く。そんな静かな室内に、漏れる吐息とリップ音が、いくつもいくつも重ねられていく。

 だんだんと疲れてきて、吸われ続ける唇もこのままでは腫れあがりそうな勢いだ。息も絶え絶え伺うように(まぶた)を開く。熱のこもった瞳でジークヴァルトが、自分の顔をじっと見つめていた。

 目が合った瞬間、口づけがさらに深められる。肩を押すようにシャツをつかみとるも、弱い抵抗にすらならなかった。

「ぁふっあ……」

 口をつく声に、気を回すこともままならない。意識を保てなくなってきて、この調子だと気絶コース一直線だ。そんなことを思ったときに、頬を包んでいた手が、ゆっくりと下に滑り落ちていった。

「んんんっ!?」
(ヴァルト様に胸を……!)

< 131 / 185 >

この作品をシェア

pagetop