森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
「誓いならば先ほど泉で果たしただろう。問題ない。オレたちは正式に夫婦となった」
「え……?」
言われた意味を理解できなくて、リーゼロッテは一瞬抵抗を忘れた。
「ででで、ですが! 神殿で神官様に、きちんと許可をいただかないとならないですし!」
アンネマリーの厳かな結婚式を思い出して、これならどうだと必死に訴えた。
「そんなもの、欲深い神官どもが勝手に定めたことだ。問題ない。対の託宣を受けた者の婚姻は、泉での神事が真の証だ」
「ですがわたくし、心の準備が……っ!」
回避する術がなくなったことを知り、真っ白な頭でリーゼロッテは大きく叫んだ。その瞬間、ジークヴァルトの動きがぴたりと止まる。
「……そうか」
静かに言って、のしかかっていた身を起こす。触れていた手も、あっさり引き上げられた。
(た、助かった……)
放心状態で体を起こした。そんなリーゼロッテに、ジークヴァルトがぐいと顔を近づけてきた。
「ならば十ビョウやる」
「十ビョウ……?」
そう言われて頭に浮かんだのは、十個の赤いリンゴだった。いちビョウあれば怪我知らず、三ビョウあれば風邪知らず、十ビョウあれば寿命が延びる。次いでわらべ歌が脳内に流れ出す。
「え……?」
言われた意味を理解できなくて、リーゼロッテは一瞬抵抗を忘れた。
「ででで、ですが! 神殿で神官様に、きちんと許可をいただかないとならないですし!」
アンネマリーの厳かな結婚式を思い出して、これならどうだと必死に訴えた。
「そんなもの、欲深い神官どもが勝手に定めたことだ。問題ない。対の託宣を受けた者の婚姻は、泉での神事が真の証だ」
「ですがわたくし、心の準備が……っ!」
回避する術がなくなったことを知り、真っ白な頭でリーゼロッテは大きく叫んだ。その瞬間、ジークヴァルトの動きがぴたりと止まる。
「……そうか」
静かに言って、のしかかっていた身を起こす。触れていた手も、あっさり引き上げられた。
(た、助かった……)
放心状態で体を起こした。そんなリーゼロッテに、ジークヴァルトがぐいと顔を近づけてきた。
「ならば十ビョウやる」
「十ビョウ……?」
そう言われて頭に浮かんだのは、十個の赤いリンゴだった。いちビョウあれば怪我知らず、三ビョウあれば風邪知らず、十ビョウあれば寿命が延びる。次いでわらべ歌が脳内に流れ出す。