森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
「ヴァルト様、こんな明るい時間からこんなこといけませんわ」
「新妻を愛でるのに昼も夜もないだろう」
「なっ!?」

 続く口づけに心地よさよりももどかしさが募っていく。くすぶる熱をどうしたらいいのか分からない。

「可愛いな」

 唇をやさしく()みながら、ジークヴァルトがふっと笑みを落とした。余裕のない自分を笑われているようで、赤い顔のままリーゼロッテは拗ねた顔をする。

「可愛いなどと……こんなときだけ調子がいいですわ」
「お前のことはいつだって可愛いと思っている」
「そんなこと、今まで口にもなさらなかったくせに」
「ずっとそう思っていた。口に出さなかっただけだ」
「思っていたなら、どうして言ってくださらなかったのですか……?」

 今までの誤解とすれ違いを思い出す。そのひと言さえあれば、あんなにも遠回りしなくて済んだのに。いくら口下手でも、こんな短い単語を言えないはずはないだろう。

「言ってよかったのか? そんなことしたら止まらなくなっていたぞ」

 熱い吐息交じりに耳元で囁かれた。次いで首筋を強く吸い上げられる。ちくりとした痛みと共に、しるしが肌の上に刻みつけられた。
 その動きは迷いがなく、まるでもう止めるつもりはないのだと言っているようで――。

 エスカレートしていく唇が、リーゼロッテを追い立てていく。それを見てジークヴァルトは魔王の笑みを浮かべてたのしんでいるようだ。
 余裕の視線が悔しくて、リーゼロッテは頬を膨らませた。今までそんなそぶりは見せもしなかったくせに。淡白どころか、ひどい手のひら返しだ。

「……このようなこと、ヴァルト様はご興味がないのだと……わたくしそう思っておりましたわ」
「ふっ、馬鹿を言うな。オレはずっとお前にこうして触れたいと思っていたぞ」
「ずっと……? ずっとっていつからですの?」
「はじめから、ずっとだ」

 再開された口づけに思考が溶かされていく。
 あちこちを刺激され、リーゼロッテはジークヴァルトの熱に飲まれていった。

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