森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
「あっん、ヴァルト様、ここ馬車の中……」
「誰も見ていない」
抗議の声は口づけに飲まれ、抑え込んでくる後頭部の手に逃げることも叶わない。馬車の中でジークヴァルトがこんなことをしてくるなど初めてだ。
それに合わせるように、異形によって馬車の窓が叩きつけられ始めた。おびただしい血のりの手形が連打されていく。窓にバンと手を突くと、ジークヴァルトは張り付く異形たちをあっさり叩き落した。
しゃっとカーテンを締め切られた薄暗い馬車の中、ジークヴァルトの不穏な手つきが次第にエスカレートしていく。
「んん、やめ、あっ駄目、ヴァルト様っ」
与えられる刺激に漏れそうになる声を、どうにかこうにか押し殺した。
走る馬車とはいえ、御者の談笑などはこちらの耳にも届いてくる。何を話しているかまでは分からないが、大きな声を出せば中の音も、外に漏れ聞こえてしまうということだろう。
我慢しきれない吐息を隠すため、ジークヴァルトの首筋に唇を寄せた。半ば歯を当てながら、必死に声を押し殺す。
「ヴァルト様っ、馬車の中っですってば……!」
「分かっている」
そう言いながらも不穏な手つきと口づけは続いた。
「だからここ、馬車のなかだからぁっ」
たまらず叫ぶも、ジークヴァルトの指の動きは止まらない。
「ああ、分かっている。最後まではしない」
「さっ……!」
(最後までって、どこまでならするつもりなの――――っ!)
脳内の叫びも虚しく、リーゼロッテはひたすら声を出さないよう、甘い責め苦に耐えきったのだった。
「誰も見ていない」
抗議の声は口づけに飲まれ、抑え込んでくる後頭部の手に逃げることも叶わない。馬車の中でジークヴァルトがこんなことをしてくるなど初めてだ。
それに合わせるように、異形によって馬車の窓が叩きつけられ始めた。おびただしい血のりの手形が連打されていく。窓にバンと手を突くと、ジークヴァルトは張り付く異形たちをあっさり叩き落した。
しゃっとカーテンを締め切られた薄暗い馬車の中、ジークヴァルトの不穏な手つきが次第にエスカレートしていく。
「んん、やめ、あっ駄目、ヴァルト様っ」
与えられる刺激に漏れそうになる声を、どうにかこうにか押し殺した。
走る馬車とはいえ、御者の談笑などはこちらの耳にも届いてくる。何を話しているかまでは分からないが、大きな声を出せば中の音も、外に漏れ聞こえてしまうということだろう。
我慢しきれない吐息を隠すため、ジークヴァルトの首筋に唇を寄せた。半ば歯を当てながら、必死に声を押し殺す。
「ヴァルト様っ、馬車の中っですってば……!」
「分かっている」
そう言いながらも不穏な手つきと口づけは続いた。
「だからここ、馬車のなかだからぁっ」
たまらず叫ぶも、ジークヴァルトの指の動きは止まらない。
「ああ、分かっている。最後まではしない」
「さっ……!」
(最後までって、どこまでならするつもりなの――――っ!)
脳内の叫びも虚しく、リーゼロッテはひたすら声を出さないよう、甘い責め苦に耐えきったのだった。